概要
大分朝日放送(OAB)様は Pyramix のアップデートと同時に Anubis と Hapi をシステムに加え、AoIP(AES67/ST2110-30)を全面的に採用した新しい録音室の運用を開始されました。
導入された3台の Anubis と Hapi はネットワーク ハブ経由で Pyramix PC に接続され、音声のみならずスタジオ室内の様々な信号のIP化と、残ったベースバンド信号の最短距離による結線工事を行いました。
ワークフロー
EDIUS でビデオ編集された映像素材はAAFファイルで Pyramix にLANで送られ、Pyramix でさらに音楽やSEが加えられて、ガイド音声としてアナウンスブースに設置された2台の
Anubis へ送られます。Anubis ではヘッドフォンとスタジオスピーカーそれぞれのレベルを作業に最適な音量に調整することができます。
アナウンスブースに設置された2台の Anubis には、それぞれアナウンサー用のマイクが直結され、アナウンサーの手元でアナログからAoIPへの変換が行われます。IP化されたナレーションはLANケーブルでコントロールルームの
Pyramix PC に送られてそのまま録音されます。
アナウンサーは、コントロールルームとのコミュニケーションに Anubis に装備されている小型の無指向性マイクとトークバック機能を使って「バックトーク」を行います。
このようにアナウンスブースの2台の Anubis は、マイクアンプとしてだけではなくカフやバックトーク、ヘッドフォンアンプ、スタジオスピーカーコントローラーとしての役目を果たしています。
コントロールルームに設置された Anubis は、主にモニターソースの選択、モニターレベルの調整、トークバックに使用されます。同時に、オーディオCDの録音レベル調整もワンタッチで行うことができるため、しばしば問題となるCDと放送のレベル差の問題を録音前に解消することができます。
ディレクター用には、Cueランプリモートを装備したトークバックボックスが用意されており、このトークバックスイッチで Anubis のトークバック機能をリモートしています。
Anubis の持つGPIO機能は、トークバックやバックトーク、カフとインターフェースされて使用されており、小さな筐体の持つ様々な機能がスタジオ内で効率的に使用されています。
AoIP採用による利点
AoIPの採用により、手元のPCでスタジオ機器の動作状態の監視やリモートコントロールを行うことが可能となりました。
また、これまでアナウンスブースとコントロールルームの両方、また部屋間に必要だった多くのアナログ、デジタルの配線を最短距離で配線することができ、部屋間を1本のLANケーブルに置き換えたことにより、残留ノイズの低減と配線工事による録音室のダウンタイムの低減を行うことができました。
同時に、将来考えられる機器増設においても、大幅に配線を変更することなくスタジオ機器の接続を自由に変更することが可能です。
その他の改善部分
Pyramix のミキサーのコントロールには Avid S1と iPad が2台ずつ使用され、効率的かつ直感的なオペレーションが行なえるようになっています。
新しく採用されたコンデンサーマイク Vanguard V4 はクリアで温かみのあるサウンドを持っており、Anubisマイクプリアンプの高性能と音質の良さをさらに引き立たせています。
なお、5.1chサラウンドに対応したモニターシステムには、正確で聴きやすいモニターとしてPSI社のアクティブモニター システムが導入されました。
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